Exhibition 2017


""

営業時間:11:00-19:00(日・月・祝祭日定休)

会場:NANZUKA [ ACCESS MAP ]

オープニングレセプション

    この度、NANZUKAはニューヨークの著名な現代美術ギャラリーPetzelとの合同企画展「Petzel at NANZUKA」を開催致します。本展は、Petzel所属のサイモン・デニー、サラ・モリス、ジョイス・ペンサトー、セス・プライス、ニコラ・タイソンの他、両ギャラリーに共通して所属をしているダーク・スクレバー、佃弘樹を加えた合計7人のアーティストによるグループ展となります。
     
    ニュージーランドに生まれ、現在はベルリンを拠点に活動しているサイモン・デニーは、今年の初めに深圳の美術館OCATにて開催した個展にて、電子通貨ビットコインの中核技術であるブロックチェーンについて研究した3つのインスタレーションを発表しました。これらの作品はそれぞれアクリルボード、木材、LEDなど多様な素材によって構成されており、ブロックチェーンがどのように未来の社会に貢献し得るのかを注意深く調査し、また競合するテクノロジーがどのように発展していくべきかについて考察をしたものです。
     
    こういった未来主義的な思考は、鮮明な色彩と格子状の幾何学形態を独特な方法で絵画に用いるサラ・モリスの作品にも通じています。本展に出展されるモリスの「São Paulo」(2015)は、このアメリカ人アーティストの真髄を象徴している作品の1つです。キャンバス上に光沢塗料で表現されたモリスの作品は、彼女が選んだ地理的な場所における多層構造を抽象的に増大したり縮小したりすることで、その本質を解き明かそうとしています。こうしたモリスの建築学的あるいは社会政治学的な調査は、サンパウロの他、ニューヨーク、リオデジャネイロ、そして北京など多数に及びます。
     
    ニューヨークのブルックリンで生まれ育ったジョイス・ペンサトーは、アニメーションや漫画のキャラクターに見られる表現の力を長年追求しています。彼女のエナメル塗料による巨大ペインティング、また炭で描かれたドローイングには、バットマンやミッキーマウス、ホーマー・シンプソンズなどの象徴的キャラクターが見られます。今回のNANZUKAでの展覧会のために制作された新作ペインティングおよびドローイングは、ポップ・アートを解説的に捉えているだけではなく、抽象表現主義における身体的表現も垣間見ることができます。
     
    アメリカ人アーティスト、セス・プライスの作品「Logo Test Scrap」(2015)と「Mascot Test Scrap」(2015)は、プライスが長年の間寄せているイメージの流通や分散、製作上の実験的なメソッドといったことへの関心の見本のような作品です。繰り返し用いられるロゴの有効性が「テスト」されている両作品は、プライスの保護封筒シリーズに見られるような既存イメージの再解釈に関する調査研究について、そのヒントを仄めかしています。また、これらの作品には、この作家のマスコット的キャラクターである両性具有の生物が巧みに鉛筆を握り、皮肉な笑みを浮かべている姿が漫画調で描かれています。このキャラクターは本シリーズが製作されて以降、アーティストの作中に頻繁に登場しています。
     
    ドイツに生まれ、現在ニューヨークを拠点にしているダーク・スクレバーは、今回の展覧会で2点の新作を発表致します。アルミ板上に描かれた2枚組の作品は、互いに呼応するイメージが重なり合って構成されており、映画のような雰囲気を携えた2つのイメージが、互いの曖昧な境界線を超えて隣同士で行き交うような想像をもたらします。着陸後に滑走路を走る飛行機が描かれている作品は、直線上に伸びた帯状のイメージの下から現れた球体が干渉するようになっており、かつて冷戦時代に軍の通信傍受施設としてドイツに建てられたラドーム(レーダーアンテナ保護用ドーム)と並列することで、全体としてより不明瞭なイメージへと転換されています。
     
    今年の9月にドイツのアーヘンにあるNAK(Neuer Aachener Kunstverein)にて、初となる美術館での個展を開催した佃弘樹は、ありふれた素材、あるいはファウンド・オブジェクトを複雑に並べて構成するインスタレーションによって、自身の想像(過去、現在、未来の融合)の中に存在する平行世界を現実に作り上げます。また、自ら収集した様々なイメージの複雑な組み合わせによって構成されるインクのドローイング作品は、同時にイメージの考古学とも言える側面を孕んでいます。
     
    イギリスに生まれ、ニューヨークを拠点にするニコラ・タイソンのドローイングは、これらのアーティストたちとは全く別の実践のもと作られた作品です。「描き始めの時点では、そこに何が現れるか見当がつかない。私は、言葉の檻や着実な思想、論理的決断から脱する為に素早く行動する。私は単に、形の成長を形自身(自己組織化)に委ねる、、、」と語るタイソンの「The Grin」は巨大な頭が小さな水溜りのある風景の隙間から現れる作品です。本作品では、その大きな頭が水溜りに映る自身を見て笑みを浮かべているのですが、この作品を見ている私たちには、水溜りに青い空が写っているようにしか見えません。
     
    これら7人のアーティストは、皆それぞれ現代社会において語られることをテーマに研究し、作品を製作しています。彼(女)らによるイメージの再解釈や可能性のある未来についての飽くなき探求が、様々な方法によって多様な作品を生み出し、その結果が今日の我々の社会を再形成する一因となることに希望を抱いております。

    Petzel Gallery - http://www.petzel.com